熱膨張測定
押棒式変位検出法
低温(-190℃)から高温(1300℃)までの測定が可能です。
【測定原理】
棒状試料の伸びの変化は、検出棒によって差動変圧器に伝えられ、電圧の変化に正比例して変換され、熱膨張回路により増幅され、記録計に試料温度とともに記録されます。

このたび、押棒式縦型熱膨張計(アドバンス理工(株)製DL-9600型) を設置しました。 本膨張計は赤外線集光型の加熱炉を備えており、試料表面につけた熱電対で温度制御を行なうため試料の加熱速度、加熱温度また冷却速度の精密な管理ができること、また炉体自身を水冷しているため、加熱測定終了後の降温が速く、測定効率が高いこと等を特長としています。データ採取と処理はWindows上のソフトにより行ないます。 主な測定仕様は次の通り。 本膨張計で、産業技術総合研究所計量標準総合センターの熱膨張率標準物質 / 単結晶シリコン(NMIJ RM 1101-a)の膨張率を700℃まで測定しました。 測定値は産業技術総合研究所の評価値に対して全測定温度域にわたり,2 %台以内のずれで一致しました。 ![]() |

真空理工製熱機械試験機 TM-7000

アドバンス理工製押棒式縦型熱膨張計 DL-9600

アルバック理工製縦型熱膨張計 DL-9500
測定装置 | 測定温度範囲 | 測定雰囲気 |
---|---|---|
真空理工製熱機械試験機 TM-7000 | -190~100℃ | 不活性ガス中(Ar) |
アドバンス理工製縦型熱膨張計 DL-9600 | 室温~1100℃ | 不活性ガス中(N2) |
アルバック理工製縦型熱膨張計 DL-9500 | 室温~1300℃ | 不活性ガス中(Ar) |

測定例:エポキシ樹脂のガラス転移点
【測定例】
[TM-7000型]
(1) 純銅(99.99%)の測定測定条件
温度範囲 -190から+45℃
試料長 20 mm
昇温速度 5℃/min.
雰囲気 Heガス
基準温度 20℃
熱膨張率(%) | ||
---|---|---|
温度(℃) | 測定値 | 文献値 |
-173 | -0.284 | -0.284 |
-123 | -0.223 | -0.222 |

(2) (国研)産業技術総合研究所 計量標準総合センター
認証標準物質(NMIJ CRM 5803-a)熱膨張率測定用単結晶シリコン(低温用)の測定
測定条件
温度範囲 -190から+30℃
試料長 15 mm
昇温速度 3℃/min.
雰囲気 Heガス
基準温度 20℃
熱膨張率(%) | ||
---|---|---|
温度(℃) | 測定値 | 認証値 |
-190 | -0.0235 | -0.0232 |
-100 | -0.0225 | -0.0221 |

[DL-9600型]
(3)純アルミニウム(99.99%)の測定測定条件
温度範囲 室温から500℃
試料長 15 mm
昇温速度 5℃/min.
雰囲気 Arガス
基準温度 20℃
熱膨張率(%) | ||
---|---|---|
温度(℃) | 測定値 | 文献値 |
300 | 0.717 | 0.710 |
500 | 1.314 | 1.315 |

(4) (国研)産業技術総合研究所 計量標準総合センター
単結晶シリコン(NMIJ RM 1101-a)熱膨張率標準物質の測定
測定条件
温度範囲 室温から700℃
試料長 15 mm
昇温速度 5℃/min.
雰囲気 Arガス
基準温度 20℃
熱膨張率(%) | ||
---|---|---|
温度(℃) | 測定値 | 評価値 |
200 | 0.055 | 0.056 |
400 | 0.130 | 0.132 |
700 | 0.259 | 0.257 |

[DL-9500型]
(5) 純白金(99.99 %)の測定測定条件
温度範囲 室温から1300℃
試料長 20 mm
昇温速度 5℃/min.
雰囲気 Arガス
基準温度 20℃
熱膨張率(%) | ||
---|---|---|
温度(℃) | 測定値 | 文献値 |
300 | 0.267 | 0.262 |
600 | 0.570 | 0.563 |
1000 | 1.005 | 1.006 |
1300 | 1.360 | 1.379 |
