熱拡散率測定
レーザフラッシュ法
金属やセラミックのような熱伝導のよい物質の測定に適しています。
オプションの冶具やソフトを使って、薄膜の熱伝導率の測定や多層材の熱伝導率の測定も可能です。
【測定原理】
レーザフラッシュ法は直径8~10mm、厚さ0.5~3mmの円盤状試料にレーザ光を照射し、裏面の温度履歴曲線を解析することにより、熱拡散率 α、比熱 Cp を求め、次の式から熱伝導率 λ を求めます。
λ=α・Cp・ρ (ρ:密度)
また、熱拡散率 α は図1の t1/2(最高温度上昇 ΔTmの1/2に達する時間)と厚さ L から求めます。
α=0.1388L2/t1/2
比熱 Cp は、室温は標準試料との比較から求めます。
吸収熱量を一定にするために、グラッシーカーボンの受光板を試料に接着して測定し、図1の ΔT0(試料からの熱損失を指数関数近似によって補正したときの最高温度上昇)を求め、同様にして求めた標準試料の ΔT0 と比較して試料の比熱を計算します。
高温での比熱は試料表面をカーボンスプレーで黒化処理して測定した高温と室温の ΔT0 を比較計算します。

図1

真空理工製熱定数測定 TC-3000

真空理工製熱定数測定 TC-7000

アルバック理工製熱定数測定装置 TC-9000
測定装置 | 測定温度範囲 | 測定雰囲気 |
---|---|---|
真空理工製熱定数測定装置 TC-3000 | -110~1000℃ | 大気中、真空中、 不活性ガス中(Ar) |
真空理工製熱定数測定装置 TC-7000 | 室温~1300℃ | 大気中、真空中、 不活性ガス中(Ar) |
アルバック理工製熱定数測定装置 TC-9000 | 室温~1300℃ | 大気中、真空中、 不活性ガス中(Ar) |
周期加熱法(温度波熱分析法)
数十μm~1mmの樹脂や金属、セラミックスなどの薄膜の測定に適しています。
標準の試料形状は材質にもよりますが□10mm~20mm×厚み10μm~500μmになります。
【測定原理】
周期加熱法は平滑な薄板試料に試料上面に温度波を与え、裏面に伝播したときの位相の遅れ Δθ を測定し(図1)熱拡散率 α を求めます。また、密度 ρ、比熱 Cp がわかれば熱伝導率 λ を求めることもできます。
λ=α・ρ・Cp
熱拡散率 α は厚さ L の試料に周波数 f を与えたとき、その時の位相の遅れ Δθ を測定し、傾きから求められます。




図1 周期加熱法模式図
(上:試料に温度波を当てた時の様子、中:ヒータ側とセンサー側の温度波、下:周波数と位相の遅れのグラフ)

アイフェイズ製熱拡散率測定装置 1r
測定装置 | 測定温度範囲 | 測定雰囲気 |
---|---|---|
アイフェイズ製熱拡散率測定装置 1r | 室温 | 大気中 |
【測定例】
当社にて測定したそれぞれの材質での測定データを下表に示します。
試料 | 熱拡散率 m2/s |
---|---|
ステンレス [SUS304系](厚み500μm) | 3.74×10-6 |
ジルコニア [ZrO2](厚み500μm) | 1.18×10-6 |
ガラスセラミックス [BCR®-724](厚み500μm) | 1.88×10-6 |